プーの東京のの字観光









第5章 断絶




一日明けた2月4日、佐原雛めぐり初日にお雛様を見て回っていたのですが…。

「バカ。」

ペチッ。エルがミーに平手打ち。

「ど、どうしたの?」
「もう30分も経ったわよ。」
「え?そんなに!」
「おまけに連絡先まで書いて。」
「…。」

時間があまりないのに、山田屋呉服店で長居してしまったのです。

「みんな待ってるのよ。」
「まあ、まあ、エルちゃん。」
「うっ。ごめんね。きものさんぽの取材のつもりだったけど、目先の欲にとらわれてた…。」
「羽織紐も後でつけて貰えば良かったでしょう?」
「うん。」

第6章 羽織紐を探しながら佐原雛めぐり


その日の朝のことでした。



レイトチェックアウトだったので、のんびりしていたのですが。
ビーズの羽織紐を引っかけて切ってしまいました。

「着物屋さん、何軒かあるから当たってみて良いかな?」
「良いわよ。きものさんぽでもあるしね。」

11時半頃ホテルを出ました。

「良いお天気ね。」
「ポカポカしてるね。」

小川を渡ると水面から心地よい冷気が上がってきました。
佐原駅で雛めぐりと舟めぐりのパンフレットを貰って作戦会議です。

「じゃあ、まずは昨年見れなかった駅前観光案内所に行こう。」
「水がテーマだし、舟めぐりしたいわ。昨年やってなかったでしょ。」
「今すぐ行ったらちょっと寒いかも。」
「3時までやってるけど、土曜で混むだろうから、受け付けは済ませておいた方が良いんじゃない?」
「雛めぐりしながら乗船場に向かったらちょうど良いと思うわ。」



駅前観光案内所に昭和50年頃のお雛さまがありました。

「私と同じ年くらいでもうこんなに色あせちゃうのね。」
「日当たりの良い所においておくとね…。」
「きっと実家にしまってあるお雛さまも古びちゃってるんだわ。」
「でも逆に高級感出るんじゃない?」
「それもそうだね。私のお雛様今どうしてるかな。」

次は去年見どころだったお茶屋さん、山城屋へ。

「お雛さまはまだですか?」
「これから出すところなんです。」

がっかりして外に出ました。

「立派なお城のお雛さま、二人に見せたかったな。」
「去年のおすすめだったわね。」
「まだ雛祭りには早いし。」
「昨年より早いから、あんまり見れないかも…。」
「ここは結構立派なお雛さまよ。」

レストラン「わいわい」では、外から見えるように7段飾りが鎮座していました。

「初日から出すの大変だったでしょうね。」
「どうぞお入りください。写真撮りましょうか?」
「お願いします。」

カシャ



「牧場直営の豚肉料理だって。お腹空いたなあ。」
「船を予約するのが先でしょ。」
「去年は入りにくかったんでしょ?」
「うん。食事しないのにレストランに入るのって勇気いるし。歓迎して貰えてすごく嬉しい。」
「みさんぽ御一行様歓迎とかやって貰えるようになりたいわね。」

隣の「京都きもの」では、この日も1000円で着物詰め放題をやっていました。

「船が先よ。」
「羽織紐だけ探させて。」

ミーの着物と羽織は昨年ここの詰め放題で買ったものなので、期待して入店しましたが、羽織紐は高いのしかなかったので止めました。
店を出て、突き当りを右に曲がり、少し行くと、京葉銀行佐原支店があります。

「さすがに銀行は開いてないね。入りやすくてなかなか立派なお雛さまだったんだけど。」
「その分お店が定休日ってことはないから良いわ。」

向かいにある東屋つくだ煮店は、昨年行けなかったところなので入りました。

「このお雛様結構好きだな。」



「これはいつ頃のですか?」
「昭和の初めころのですよ。」

東屋を出て、さらに進むと大川みどり漬けがあるのですが…。

「雛めぐりのお雛さまはまだですか?」
「うちはやってないよ。」
「え?」
「この辺ではやってないよ。」

お店を後にしました。

「マップには載ってるのにね。」

左折してしばらく進むと、左手に志田ストアーというスーパーがあります。

「ご当地サイダーないか見てみる。」

お目当てのものはなかったのですが、飲み物を安く買うことができました。
志田ストアーの向かいに山田屋呉服店があります。

「いらっしゃいませ。まあ、皆さん素敵ですね。」
「羽織紐っていくらくらいからありますか?」
「ポリエステルなら300円くらいからあったと思いますが。」
「それで良いです。」
「2階で探してきますので少々お待ちください。温かいお飲み物でもお出ししますか?」
「結構です。」

ソファー席で待っていました。

「お待たせしました。」

包装の古びた絹の羽織紐が580円でした。



「安いですね。昔の値段なんじゃないですか?」
「そうですね。」

さらに500円にまけてくれました。

「今つけて貰えますか?」
「脱いでいただければお付けします。」

羽織紐を通すところが小さかったので大変そうでした。

「この辺着物屋さん多いですよね。」
「昔は多かったんですけど、今は減りましたね。新しいお店がいくつかできましたが。」
「ここも新しいんですよね?」

山田屋呉服店の店構えは新しく感じるのですが…。

「うちは90周年なんですよ。お得なお知らせなどお送りしましょうか?」
「お願いします。」

羽織ひもは見つかったものの、エルの堪忍袋の緒が切れてしまったのです。

第7章 船巡りで幸運のジャージャー橋へ



しばらく無言でお散歩して、線路近くの道から小野川沿いに出ました。

「川沿いは風情があるわね。」
「…去年見れなかった町並み観光中央案内処を見ようか。」
「そうね。手前の酒屋さんにもお雛様あるみたいよ。」

上州屋酒店に入りました。

「これは33年前のお雛さまでね、部品がないのもあって…。扇のところに段ボールを使ってるんですよ。」
「大事になさってるんですね。」

その先が通行止めになっていました。

「どうしよう?」
「どこ行くの?」
「町並み観光中央案内処です。」
「それはあっちだよ。」
「あ、歩きなら通れるんですね。」
「この木の下旅館ってこの辺で一番古い旅館なんだよ。」
「わあ、レトロで素敵。」



「人気がないけど、今でも営業してるのかしら?」

木の下旅館は今でも営業しているそうです。

木の下旅館の少し先にある町並み観光案内処にやってきたのは1時半頃でした。
中には明治中期の3段飾りのお雛さまと、掛け軸のお雛さまがあります。



「これも良いね。屏風も綺麗で。」
「掛け軸に刺してあるお雛さまは、佐原でもここだけなんですよ。」
「珍しいんだ。あ、落花生アイスありますか?」

外のポスターで知ったアイスで仲直りできたらなと。

「今コーンのがなくて、カップならあるのですが高くなります。」
「それ3つください。」

カップのぴーなっつアイスは350円でした。

「これ3人で食べよ。」
「落花生は香取の特産なのよね。」
「水がテーマだし、川辺のベンチで食べましょ。」

3人は町並み観光案内処を出て、ポカポカしている中、小野川辺のベンチでアイスを頂きました。



「おいしい。ピーナッツの小さい粒が見えるわね。」
「アイスミルクにピーナッツが加わることで程良いボリューム感。はちみつが美味しさにダメ押ししてるね。」
「…。」

川の向こうには佐原に1軒だけ残っているお醤油屋さん「正上」があるのですが、目の前に橋がないのでぐるっと回りました。
アイスで冷えた体がお散歩で温まります。

「お醤油と佃煮の試食がある。アイスの口直しになるね。」
「すみません、お雛さまはまだですか?」
「今年は飾らないんですよ。」
「そうなんですか。ほら、ミー。いつまでも食べてないで。行くわよ。」

やっとのことで忠敬橋までたどり着きました。

「舟めぐりの前にトイレ行っておこうよ。」
「そうね。」

忠敬橋から少しジャージャー橋の方へ行くと、舟めぐりの受付がありました。

「すみません、この辺にトイレありますか?」
「伊能忠敬記念館の奥。すぐだよ。」

受付の人が教えてくれたところは、のれんの素敵な和風の公衆トイレでした。

「建物は和風なのに、便器は洋式でウオシュレットまでついてるんだね。」
「…。」
(まだエルちゃんおかんむりね。)

その時川の方から水の流れる音が聞こえてきました。時計は2時を指しています。

「ジャージャー橋だ。流れてるの見ると良いことあるんだって。」
「急ぎましょ。」

小走りで橋まで戻ると、橋から川に水が落ち続けていました。

「水がキラキラして素敵ね。」
「良いことあるかなあ…。」

ミーはエルをちらっと見ました。

「舟めぐりの受付しましょ。」

受付に戻ると、すぐ乗れるようでした。

「一人1300円ね。そこから乗れるから。」



笠をかぶった係りの人が船を引っ張る風情のある風景に見入ってしまいました。

舟に乗る時に揺れるかなと思っていましたが、それほど揺れませんでした。

「乗ってから靴を脱いでください。」

草履と足袋なので、脱いだり履いたりが楽でした。

「バランスを取って、もう一人はそっちに座って。」

舟の中央には細長いコタツがおいてあります。

「コタツなんて気が利いてるわね。」
「みかんが欲しいね。」

あとから4人連れが来て、満員になったところで出発しました。



「小野川は舟運で栄えてねー。」

結構岸から見られていました。ゆっくり目の自転車が舟を抜いて行きます。

「5月の終わりから6月には川沿いにあやめが咲くんですよ。」

船頭さんの解説を聞きながら舟に身を任せていると、海鳥が2羽飛んできて、1羽が橋の欄干に留まりキーッと鳴きました。

「ここって自分の舟でも来れるんですか?」
「来れますよ。」
「…ミーって楽しいとそのことで頭がいっぱいになっちゃうのね。」
「うん…。馬鹿だよねぇ…。」

舟めぐりでは小野川に住む動物も見ることができます。


「カモもいるわね。」
「3羽で私たちみたいじゃない?」
「…。」
「そうね。」

船頭さんに質問が飛びました。

「川辺に飾ってある人形は何なんですか?」
「あれはね、雛舟春祭りで、雛装束の人たちが通るからね、その飾りなんだよ。」
(雛めぐりとは関係なく土日は賑わうんだなあ。)

カンカンカンカン…
舟が線路の下に差し掛かりました。

「電車すぐ来るから停めるね。下から写真撮るかい?」

小野川を横切る線路の真下にゆっくりと舟を移動してくれました。
ガタンガタンガタンガタン…みんなでシャッターを切りました。

「わー、クーに見せたら喜ぶぞー。」

単身赴任中の鉄道好きな夫に画像を送ることにしました。
電車が通り過ぎると、利根川本流の500m手前まで舟は進みました。

「ここで折り返します。」

舟が橋の下を通るたびに、水面の光がゆらゆら反射して綺麗です。

「うわっ。」

舟すれすれに海鳥が飛んできて、近くで休みました。

「さっきの鳥、また2羽で来てるわ。仲が良いのね。」
「あんた達もお揃いの襟で仲が良いんだねえ。」
「…。」
(何か言わなくちゃ。どうしよう。)

その時、終点のすぐ先にあるジャージャー橋から水の流れる音が聞こえてきました。
水の音に紛れて、カノの耳に亡夫の声が。

”がんばれ”
「エルちゃん、仲良くできる時間って貴重なのよ。ミーちゃんも、エルちゃんの友情を当たり前と思わないようにね。」
「…。みさんぽもっと頑張りましょうよ。馴れ合いはイヤよ。」
「うん。」



2時35分に舟を降りると、もう次の人が並んでいました。

第8章 等身大のお雛様を探して


舟めぐりを終えて忠敬橋まで戻ってくると、荒物屋の植田屋で呼び込みをやっています。

「白壁の蔵が見学できますよー。」

奥の蔵に行ってショッピングをしてから母屋に戻りました。

「去年ここで見たカゴバッグ、買わずに後悔してたんだ。着物でお散歩する時使えると思って。」

お雛さまの向かいにカゴバッグが並んでいます。



「あら、良いじゃない。収納にも使えそうね。」
「持ち手もカゴ素材の高級感ある方は高いから、安い方で良いんだ。着物も安いしさ。」
「私も買うわ。持ち手はアレンジできるわよ。」

持ち手がロープとビニールチューブの安い方は特大で2600円。

「これ、どのくらい入りますか?」
「何を入れたいの?」
「うーん…。大きいペットボトル4本大丈夫ですか?」
「それはダメだね。でも、持ち手からカゴの底に紐を回して補強すれば大きい米袋だって入るよ。」
「リフォームすれば良いわね。」
「うん。麻紐が使えそう。」

二人でお揃いのバッグを買いました。

「ありがとうございました。」
「良かったわね。お揃いで。」

植田屋を出て右に、忠敬橋を背にしてお散歩を続けました。
三菱館という洋館の隣に、町並み交流館があります。

「今年は吊るし雛ないんだ。」

今年の展示は古民家のミニチュアがメインです。

「毎年変えているのね。」
「あそこの人たち、台湾から来たんですって。」

隣の忠敬茶屋にも行ってみました。

「大正のお雛さまがあるんだけど、まだ出していないの。毎日商売していると手が空かなくてね。」

山村商店までお散歩してから折り返すことにしました。

「山村商店、去年も閉まってたけど、今日も閉まってるね。」
「去年はお店の人が来て開けてくれたんだったわよね。」
「結構外から見えるわよ。」

和なちゅらる素顔屋(すっぴんや)のところまで戻ってきました。

「お雛さま、今出すところだったんですよ。」

綿棒でできたお雛さまを出してくれました。



「いろんなお雛さまがあるのね。」
「和物のお店って佐原にぴったりだね。」
「趣味のお店ってやりがいあるでしょうね。私はみさんぽのお手伝い、やりがい感じてるのよ。」
「私もやりがいあるよ。頑張るから。」
「応援してるわ。」

等身大のお雛さまが見どころの花冠は今年も閉まっていました。

「等身大のお雛さま、今年の雛めぐりのチラシでは単なるイメージ写真になっちゃってるよ。」
「去年は修理中って言われたんだったわよね?」
「うん。すぐそこに町並み交流館があるから、ちょっと聞いてみようか?」
「それは聞かなくちゃ。」

町並み交流館で係りの人に聞いてみました。



「等身大のお雛さまがあった花冠さんは二子玉川に移転しちゃったからね。持ち主は公家筋の方なんだよ。」
「すごいお雛さまなんですね。」

がっかりして忠敬橋までお散歩を続けました。

「等身大お雛さまって大きいだけじゃなかったんだね。」
「残念だったわね。やっぱり都会でお店を出したいものなのかしら。」
「二子玉川まで追跡調査したら面白そうじゃない?」
「面白そうだけど、今は利根川中心だから、機会があったらやってみましょう。」

第9章 夕焼け空の佐原雛めぐり


忠敬橋の脇にある和物の中村屋は、蔵に立派な展示がある、昨年もおすすめしたお店です。

「本当は7段飾りなんだけど、もう年だから全部は出せなくて。」
「この折り鶴すごいですね。」

お雛さまの横に和紙の極小千羽鶴が吊るしてありました。

「これは一枚の紙でできてるんですよ。父が作ったんです。テレビにも出ましてね。」

ミーは蕎麦猪口を買うことにしました。

「この先にあるイタリアンは、うちのゆかりの建物なんですよ。」

会計を済ませて外に出ました。

「小江戸のイタリアンも良いんじゃない?」
「行ってみましょうよ。」
「行こう、行こう。」

中村屋を出て右へ、小野川沿いをお散歩していたら、川向こうの伊能忠敬旧宅前に花嫁と花婿の姿が。



「見て見て!素敵!」
「良いわねえ。」
「ロケーションも最高だね。」

3時半頃カーザ・アルベラータに着いたら、3時で閉店でした。

「素敵な古民家だね。中も見たかったなあ。」
「まあ良いじゃない。良いもの見れたし。」
「そうそう。」

忠敬橋まで戻り、駅に向かってお散歩です。

「佐原のしょうゆ味があるよ。」

きめらパーキングのお休み処にはジェラートなどがあります。

「今度は私が奢るわ。カノさんもしょうゆ味で良い?」
「ええ、面白そうね。」

350円。ベンチで食べることにしました。



「醤油は風味付け程度だね。」
「そうね。去年赤城で食べた日本一醤油のソフトより醤油が薄いわ。」
「ジェラートならこのくらいが良いんでしょうね。」

隣の武雄書店ではたいやきも売っています。
店先の試食コーナーでは三人官女がたいやきの乗ったお盆を持っていました。

「試食なくなっちゃってる。」
「買えば良いじゃない。」
「みんなは?」
「私はもういいわ。」
「食べててよ。私ちょっと福新を見てくるから。カノさんも行く?」
「福新面白いよ。」
「じゃあ私も行くわ。」

福新は閉まっていました。

「土曜なのに…。」

紙コップのお茶片手に、たいやきをかじりながら、ミーが追いつきました。

「立て看板あったけど、虎屋で不幸があったから、福新の人たちもそっちに行ってるのかもね。」
「なるほど。たいやきはどんな感じ?」
「薄皮でしっぽなんかパリパリ。ほうじ茶のセルフサービスが嬉しいね。」
「もうすぐ4時ね。そろそろ帰らないと。」
「馬場酒造はおすすめだよ。」
「最後に相応しいわね。」

馬場酒造は見学しやすく、立派なお雛さまがあるので、エルもカノも満足そうです。
あとは駅に戻るだけと、お散歩を再開しました。

「こっちの酒屋さんにもお雛さまあるみたいね。」
「ちょっと入りにくいし、4時過ぎちゃってるからなあ。」

東薫酒造の前で悩んでいる時、他の観光客が入っていきました。

「ついて行きましょうよ。」

中には、お酒などを売っているスペースもありました。

「お雛さまありますか?」
「ありますよ。まだ1つしか出していないんですが。」

案内されて2階へ。

「まだ正月祝いの飾りが残っててね。雛祭り近くになると部屋一面にお雛さまを飾るんですよ。」
「いつか見に来たいわね。」

見終わって帰るとき、通路の松尾様に気付きました。



「松尾様ってお酒の神様なんだよね。」
「珍しいわね。」

帰りに甘酒を試飲。

「甘さ控えめの本格派だね。さすが酒蔵。」

佐原公園でちらっと忠敬像を見て、駅前まで戻ってきました。



「着物の詰め放題やっていくんでしょ。置き場は解決したの?」
「安いのだから、適当に積んでおく。そんなに着物着る機会ないと思ってたんだけど、普段から着てみることにしたんだ。」

わいわいの前を通ると、お弁当半額と書いてありました。

「このお弁当電車で食べない?」
「ちょうど良かったわね。」
「まだあるかしら?」

ソースカツ丼などが250円になっていました。

「楽しんできましたか?」
「はい。」

4時52分発の成田行きは、先頭の車両だけボックス席になっていて座れました。
わいわいのお弁当に入っている豚肉は定価で買っても安いと思うほど立派なものでした。

「なんか、旅先で揉めちゃってすみませんでした。」
「いいのよ。夫に会えたし。」
「え?」
「ふふ。」

列車は夕日に向かって走っていきました。